指名検索とは？
指名検索とは、特定のブランド名、企業名、商品名、サービス名など、具体的な名前での検索を指します。「コカコーラ」「ファミチキ」「メルカリ」のようなキーワードでの検索を指名検索と呼びます。この概念は、デジタルマーケティングの世界で非常に重要な位置を占めています。では、指名検索の定義とその重要性について、詳しく見ていきましょう。
指名検索の定義と重要性
指名検索は、ユーザーが特定の名前やブランドを既に知っている状態で行う検索です。これは、ユーザーが特定の商品やサービスを求めていることを意味し、その結果、コンバージョン率（CVR）が一般的な検索よりも高くなります。「ダイエット サプリ」という一般的な検索よりも「カロリミット」という指名検索の方がCVR（=カロリミットを購入する確率）が高くなる、ということです。
指名検索の重要性は、この高いCVRによって、企業やマーケターは直接的な収益向上のチャンスを得ることができる点にあります。
また、指名検索はSEO（検索エンジン最適化）の観点からも重要です。検索エンジンは、ユーザーが求める情報を提供するため、指名検索の多いサイトを高く評価し、検索結果の上位に表示する傾向があります。これにより、ブランドのオンラインでの可視性が向上し、更に多くのユーザーへアプローチすることが可能となります。
指名検索の増加は、ブランドの認知度や信頼性の向上を意味し、これが長期的にはブランドの価値を高めることに繋がります。そのため、ブランドや企業は、指名検索を増やすための戦略を練り、実行することが重要となります。
指名キーワードと一般キーワードの違い
指名キーワードと一般キーワード、これらの違いを理解することは、効果的なSEO戦略を構築する上で不可欠です。
前項でも簡単に触れましたが、指名キーワードは「特定のブランドや商品・サービスの名前」など、具体的かつユニークなキーワードです。これに対して、一般キーワードは、「カテゴリーや商品の種類・サービスの内容」など、広範で抽象的なキーワードとなります。例えば、「iPhone」は指名キーワードであり、「スマートフォン」は一般キーワードです。
一般キーワードでの検索は、ユーザーがまだ特定のブランドや商品に決めていない、探索的な段階にあることが多いです。これに対し、指名キーワードでの検索は、ユーザーが何を求めているのか明確であり、購買意欲が高いとされます。このため、指名キーワードによる検索からの流入ユーザーは、一般キーワードによる検索からの流入ユーザーよりも、コンバージョンに至りやすい傾向にあります。
この違いから、マーケティング戦略では、一般キーワードを用いてブランドや商品の認知度を高め、指名キーワードを強化して購買に結びつけるアプローチが重要となります。キーワードの選定やコンテンツの作成時には、これらのキーワードの特性を理解し、適切にバランスを取ることが求められます。
指名検索を増やすメリット
前項でも簡単に説明をしましたが、指名検索数を増やすメリットについて、さらに詳しく説明をしていきます。
CVRが高い
指名検索を増やすことのメリットの一つとして、最も顕著なのがCVR（コンバージョンレート）の向上です。CVRとは、サイト訪問者のうち、目標とするアクション（購入、問い合わせなど）を行ったユーザーの割合を指します。では、なぜ指名検索がCVRを高めるのでしょうか。
指名検索は、ユーザーが特定のブランドや商品を知っており、それを検索している場合が多いです。これは、ユーザーが購買意向を持って検索を行っている可能性が高いことを示しています。そのため、指名検索からの訪問者は、一般的な検索キーワードからの訪問者に比べて、サイト上での目標達成の確率が高くなります。
このように、指名検索は購買意向の強いユーザーを引き寄せるため、CVRの向上に寄与します。マーケターとしては、この特性を理解し、指名検索を増やす戦略を積極的に取り入れるべきです。
SEOにおける影響とE-A-Tの権威性の向上
指名検索の増加は、SEOの観点からも大きなメリットをもたらします。特に、E-A-T（Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness：専門性、権威性、信頼性）の向上に繋がります。E-A-Tは、Googleの検索アルゴリズムにおいて、ウェブページの評価基準となる要素です。
指名検索は、ユーザーが特定のブランドやサービスを知り、信頼して検索することから、検索エンジンはこれをブランドの信頼性や権威性の指標とみなします。これにより、指名検索が多いウェブサイトは、検索結果ページ（SERP）において高い位置にランクインしやすくなります。
このE-A-Tの向上は、サイト全体のオーガニック検索パフォーマンスの向上に寄与し、結果として、更に多くのユーザーへの露出と、オーガニックトラフィックの増加をもたらします。これは、長期的なオンラインビジネスの成功にとって、非常に重要な要素となります。
検索アルゴリズムの変動に強い
検索エンジンのアルゴリズムは、常に更新され、変化しています。これにより、ウェブサイトの検索順位も変動しやすいのですが、指名検索の多いサイトは、この変動に強いとされています。では、どうして指名検索が検索アルゴリズムの変動に強いのでしょうか。
指名検索が多いということは、多くのユーザーがそのブランドやサービスを知っており、信頼している証拠です。検索エンジンは、ユーザーにとって価値ある、信頼できる情報を提供することを目指しているため、指名検索の多いサイトを高く評価します。
このため、アルゴリズムの変更があっても、指名検索の多いサイトは安定した検索順位を保ちやすくなります。これにより、企業やマーケターは、検索順位の変動によるトラフィックの減少やビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。
また、指名検索の検索結果は「同名の商品名・サービス名」がない限り、基本的に最上位に表示されます。検索アルゴリズムに大きな変動があっても、最上位への表示は揺るがないため、安定したトラフィックを得ることができます。
指名検索を増やすための戦術
指名検索を増やすことが多くのメリットをもたらすことは前項までの内容でご理解いただけたかと思います。では、指名検索を増やすためにどのような施策を実行すれば良いのか、具体的な戦術について詳しく解説します。
商品やサービスの質を高める
指名検索を増やすためにも最も重要なことは、商品やサービスの質を高めることです。高品質な商品やサービスは、消費者からの信頼を得やすく、口コミや推薦によって自然とブランド名が広まります。これにより、消費者がブランド名や商品名、サービス名で直接検索する機会が増え、指名検索が増加します。
質の高い商品やサービスを提供するためには、顧客のニーズや期待を正確に把握し、それに応える形での開発や改善が必要です。顧客からのフィードバックを積極的に取り入れ、継続的に品質向上を図ることで、長期的に指名検索の増加を実現できます。
覚えやすい・流通しやすい名称にする
ブランドや商品、サービスの名称は、覚えやすく、流通しやすいものであるべきです。複雑で長い名称は、消費者が記憶しにくく、口コミでの伝播も難しくなります。一方で、簡潔で印象的な名称は、消費者の記憶に残りやすく、他人に紹介しやすくなります。世の中で長年利用されている商品・ブランドの多くは簡潔で覚えやすい名称かと思います。
名称の選定に際しては、ターゲットとなる消費者の視点を重視し、関連性や発音の容易さを考慮することが重要です。また、他のブランドや商品との差別化も考慮し、オリジナリティを保つことで、指名検索の増加に寄与します。
「ユニクロ」「すき家」「金麦」のような日本を代表するようなブランド・商品の名称は「覚えやすい」「発音しやすい」「印象的である」といった要素を兼ね備えているかと思います。また、「ファミリーマート」を「ファミマ」、「鳥貴族」を「トリキ」のように略すような名称加工戦術も消費者に覚えてもらう・流通させてもらう、という観点で非常に効果的な戦術です。
質の高いコンテンツを作る
質の高いコンテンツの作成も、指名検索を増やすための重要な戦術です。有益で魅力的なコンテンツは、ユーザーの関心を引き、ブランドへの信頼と興味を高めます。これにより、ユーザーがブランド名で検索する機会が増えます。
コンテンツ作成においては、ターゲットオーディエンスのニーズや興味を考慮し、情報価値の高い、またはエンターテイニングなコンテンツ（≒情緒的な価値の高いコンテンツ）を提供することが重要です。また、SEO対策を施し、検索エンジンからのアクセスを最大化することで、ブランドのオンラインプレゼンスを強化し、指名検索の増加を促進できます。
露出量を増やす
ブランドの露出量を増やすことも、指名検索の増加に繋がります。広告やSNS、イベントなどを通じて、ブランド名を多くの人々に知ってもらうことで、ブランドの認知度が向上し、指名検索が増える可能性があります。
露出量を増やすためには、ターゲットオーディエンスが頻繁に利用するプラットフォームやメディアを選定し、効果的なプロモーションを行うことが重要です。また、露出の機会ごとにブランドの価値やメッセージを一貫して伝えることで、ブランドイメージの強化と指名検索の増加を実現できます。
指名検索数・指名検索結果の現状把握
指名検索数と指名検索結果の現状把握は、ブランドの現状把握をする上で非常に重要です。これにより、マーケティング戦略の方向性を定め、効果的な施策の実行が可能となります。以下では、指名検索数と指名検索結果の現状をどのように把握するかについて詳細に解説します。
指名検索数の推移の調べ方
指名検索数の推移を調べることで、ブランドの認知度や人気の変動、市場での競争状況を把握することができます。指名検索数の推移を調べる方法としては、Google Trendsやキーワードプランナーを利用するのが一般的です（キーワードプランナーを利用するためにはGoogle広告アカウントが必要です）。
Google Trendsを使用すると、特定のキーワードの検索ボリュームの変動や、時間経過によるトレンドを視覚的に確認することができます。これにより、ブランドや商品の人気の上昇や下降、季節性などの傾向を把握できます。
Google Trends では上記のように特定キーワードの推移を確認することができます。
また、キーワードプランナーを利用すると、特定のキーワードに対する月間検索ボリュームや競合他社の競争状況を詳細に調査できます。
これにより、市場でのブランドの位置付けや、マーケティング施策の方向性を具体的に定めることができます。
指名検索結果の調べ方
指名検索結果の調査は、ブランドのオンラインでの評判や、検索エンジンにおける表示状況を理解するために重要です。指名検索結果を調べる方法としては、検索エンジンで直接キーワードを入力し、表示される結果を分析するのが基本です。
新商品・新サービスの名称を考える際、検索エンジンでキーワードの検索結果を見て、他社との重複がないか、必ず確認をしましょう。
指名検索対策の具体的施策
商品やサービスの名称の選定はビジネスにおいて、重要な要素であるということは前述通りです。しかし、既に商品・サービスをローンチしてしまい、且つ全く同名称の商品・サービスが存在していた、という状況も少なからずあるかと思います。以下では、指名検索時に競合よりも自社サイトを上位に表示させるために取り組むべき施策について解説します。
サイトと指名キーワードの関連性の強化
指名検索対策の一環として、サイトと指名キーワードの関連性を強化することが重要です。これにより、検索エンジンがサイトの内容を正確に理解し、ユーザーに対して適切な検索結果として表示することができます。
関連性の強化のためには、まず、サイト内のコンテンツが指名キーワードに適切に対応していることを確認する必要があります。具体的には、タイトルタグやメタディスクリプション、ヘッダータグにブランド名や主要なキーワードを適切に含め、コンテンツ内でも自然な形でキーワードを使用します。
また、サイトの構造や内部リンクも、検索エンジンがサイトの内容を理解する上で重要な要素です。清潔で論理的なサイト構造と、関連性の高い内部リンクを構築することで、サイト全体の関連性を高め、検索エンジンからの評価を向上させることができます。
リスティング広告の出稿
リスティング広告の出稿も、指名検索対策の有効な手段です。リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告で、ユーザーが検索したキーワードに基づいて表示されます。
指名キーワードに対してリスティング広告を出稿することで、ブランドの露出を確実に増やすことができます。これにより、ブランドの認知度が向上し、指名検索の機会も増加します。
リスティング広告の出稿に際しては、広告のクリエイティブやランディングページの最適化も重要です。魅力的な広告文と、ユーザーの期待に応えるランディングページを用意することで、クリックからコンバージョンへと導くことができます。また、広告の入札戦略や予算配分も適切に管理し、広告の効果を最大化することが重要です。
まとめ：指名検索を最大限に活用するために
指名検索は、ブランドや商品、サービスに対する認知度や信頼性を測る重要な指標です。指名検索を増加させることで、ブランドのオンラインプレゼンスが向上し、ビジネスの成長が期待できます。本記事では、指名検索を最大限に活用するための具体的な戦術について詳細に解説しました。これらの施策を総合的かつ継続的に実施することで、指名検索を最大限に活用し、ブランドの成長と競争力の強化を実現できるでしょう。
指名検索について詳しく学びたい方は、ノバセル代表の田部氏著『ブランド力を高める「指名検索」マーケティング』がおすすめです。ご参考までに。
